違う山に登ってますよ
こんにちは。
時々、「どんなお仕事なさってますか」
と聞かれるので
声と呼吸を使って、表現を豊かに、
その方自身を自由に解放する仕事をしています、
とお話すると、
表現や解放という言葉が
わかりにくいからなのか、
「あー、呼吸法ですかー」と
言われることがほとんどです。
言ってもわかってもらえないだろうなーと
ちょっとめげつつ、
(←ほんとはこれじゃいけないと、
わかってはいるんだけどさ・・・)
「はい、そうです」と答えると、
腹式呼吸ですか、胸式呼吸ですか、と
質問が来ることが結構あります。
今日もそんなことがありました。
「歌うには腹式呼吸ですよね?」
とおっしゃるので、
うーむ、と言い淀んでいると、
「わたし、子供の学校の保護者会のコーラスに入ってて、
音楽の先生が指導してくださるんですが、
発声練習の前に呼吸の練習もするんです、
ハッハッハって」とのこと。
困ったなあ、どうしよう、
と思うけど、
「そうですか」としか、
言えないんです。
ここをお読みのみなさま、
こういう時、
どうやって返してらっしゃるのかなあ。
「いや、それは間違いです」と
はっきり言えないでしょう。
腹式呼吸そのものの扱いも間違ってるし、
ハッハッハっも間違ってるし、
全部間違ってるけど、
そのやり方で出た音を
いいと思ってしまうのだから、
どうにもできないんです。
これ、腹式呼吸のことに限りません。
表現者として目指す高みがあって、
そこに向けて毎日毎日毎日毎日(←しつこい)
長い年月をかけて研鑽を積んでいるのですが、
その高みが本当に「正しい」のかを決めたのは、
誰なんでしょうか。
本当にその高みで合っているのか、
考えたことがありますか。
誰がどう言おうとこれしかない、
以前はこうだったけど、今はこうだ、
時々揺らぐけど、これだと思う
・・などなど、
おそらくおひとりおひとりの中に、
「これこそが美しいのだ」
「これこそが正しいのだ」と
信じるものが存在しているのだと思うのです。
けれど時々、
その根拠が
「私の師事している先生がこうおっしゃるから」
「これが正しいと有名な○○さんが言ってたから」
「本に書いてあった」
「ネットではそれが大方の意見だから」
という方がいらっしゃいます。
鍛える、鍛える、鍛える
以前、こういう生徒さんがいらっしゃいました。
スイミングがお好きで、毎日のように
プールに通われていたんですが
「50mぐらいですぐ苦しくなるんです、
もっと長く泳ぎたいです」と
おっしゃるんですね。
「水の中で息を止めていませんか?」と
お伺いしたら
「いや、浮力も必要なので
水の中で息を吐いてはいけないんです」とのこと。
私はスイミングのことは
全くわかりません。
でも、身体の仕組みとして
息を止めた状態で長時間身体を動かすのは、
呼吸に無理があると思い、
「息を少しずつ吐いたらダメですか」と
お伺いしてみました。
すると、
「そんな風には教わらなかったから、
それではダメです」とのこと。
そうかあ。。
では、コーチに
「苦しくならないようにするにはどうしたらいいですか」と
聞いたらどうでしょう、
と申し上げると、
「呼吸の筋肉を鍛えて下さいと言われました」
とのこと。
うーむ。
これは表現にも通じる問題なんです。
できないのは鍛え方が足りない、って
簡単におっしゃる方、言われている方、
たくさんです。
鍛える。。。
なんのために
どこを
どのように
どうなるまで
鍛えるのか、もわからないし、
そもそも、
その鍛える方向が間違っているとは、
なぜ思わないんだろう。
できないことはたくさんある
こんな言い方すると、
ちょっと悲しいけど、
でも、
私たちには「できない」ことが
たくさんあります。
言いたいことを言えません、
人前でリラックスできません、
速いパッセージが吹けません、弾けません、
ロングトーンができません、
低い音が歌えません、
高い声が出ません、
役が身につきません、
臨場感のある芝居ができません、
滑舌がうまくいきません、
機敏な動きができません、
リズムに乗れません・・・
山ほどあるんです、
できないことが。
そういうとき、
どうすればいいか、と考えると、
最初に浮かぶのは
「練習」「鍛える」になってしまうんです。
練習が足りない、鍛え方が足りない、
とにかく足りない、できないのは足りないから。
でも今まで、
練習してきてないですか?
鍛えてないですか?
そんなことないんです。
十分やってきてるんです。
でも実際にはできてないから、
足りないんだ、まだまだなんだ、って
ずーっと思ってるんですよね。
これ、どうすればいいでしょうか。
つづく。
小さなヒント
思い切り息を吸って
限界まで止めて
思い切り吐く。
何回続けて、できますか。
パフォーマンスの長さ分、
できますか。
できなくて当然なんです。

