こんにちは。
「うまくなりたい」ことについて
スランプに陥った学生さんのレッスンを通して
お話を進めます。
本当にスランプ?
ブログから得た偽りの情報で
混乱してしまった学生さんの
呼吸のレッスンを続けていくと
ある意味、
そのやり方は付け焼刃だったので
すぐに剥がれ落ちて
彼女がいうところの
「元の状態」に戻りつつありました。
ただ、彼女は
「呼吸のやり方は戻りましたが
スランプであることには
変わりありません」と
主張するのでした。
私は彼女の「スランプ以前」の状態を
知らないので
どの状態がスランプだと思うのか
説明してもらうことにしました。
細かくは書かないのですが
こういうことができなくなった、
ああいうこともできなくなった、
以前はできていたのに、
どうやってもできない、
なぜできないのかわからない、
と例を挙げてくれました。
私はそれを聞きながら
少し不思議な気持ちでいました。
なぜなら
本当にそれができていたのか
今の状態からは
疑問があったからです。
うまくなければスランプにはならない
スランプの定義や理由は
いろいろあると思いますが
私は「バランスの崩れ」だと
考えるのがいいのかな、と
思っています。
「うまく」なればなるほど、
そのパフォーマンスは
いろんな研ぎ澄まされたものが
ぎりぎりのバランスで
美しく調和しています。
なので、
荒っぽいことを言えば
まだ初心者の場合は
スランプがないのです。
単に「まだ、できない」です。
あるレベルまで行かない場合
「今までは、できていたのに」というのは
・たまたまうまくいっていた
・勢いでできていた
・できていると勘違いしていた
ということであって
スランプのレベルまで行かないんです。
練って練って、究めて究めて、
そのうえで成り立っている
パフォーマンスができるようになって初めて
スランプがやってくるのです。
ほんの小さなバランスの崩れは
自分で気づくことも難しいし
一度崩れると、ドミノ倒しのように
どこから手を付けていいかわからなくなる。
だからこそ、
スランプは苦しいんです。
目標はあるけど、目的はない
学生さんには
この話を正直に丁寧に話して
「おそらく、あなたがスランプと呼んでいるものは
スランプではなくて
うまくなりたい気持ちと
ご自分の実力の差、乖離に
疲れてしまっていることが
大きな原因だと私は思います」
と伝えてみました。
すると学生さんは
「ええ・・・たぶんそうだと思います。
うまくならないと、と焦っているのに
全然うまくなれないから
悲しいし、落ち込んで
余計歌えなくなります」
と答えて下さったので
「あなたにとって
うまくなることって
どういうことですか」
と聞いてみました。
すると彼女は
「うまくなること・・・
コンクールで3位までに入ることですかね」
と答えたので
びっくり。
3位までに入ること?
なぜ?
「え、だって3位までに入れば
それだけ評価されたってことだし
肩書にも残せますから」
私は呆然としました。
いやいやいや。
それって、どういう指標なの??
彼女は私がびっくりしたのが
解せなかったらしく
「えーと、じゃ、目標ってことです」
と言うので
「あなたが歌を専攻している目的って
なんですか」
と、さらに聞くと
「目的・・・目的なんてないです」
と困惑した表情になりました。
さて。
ここをお読みの皆さま、
どう思われましたか。
小さなヒント
今まで試験や面接、
コンクール、オーディションなど
「選んでもらう」場面に臨むとき
どんな気持ちで、対峙してきましたか。

