こんにちは。
前回のお話より、
ブレイクスルー呼吸®セラピーを受けて
下さった方のストーリーを続けます。
自分がすり減る
シャンソン歌手として
順調なお仕事をなさっていた方
(Aさんとしますね)
が直面したのは、
「声が出ない」ことでした。
声が出ない、というと
器質的に全く声が出ないことを
想像なさるかもしれませんが
歌手にとって「声が出ない」というのは
「思うように歌えない」ということです。
普通にお話しできるけれど
仕事のレベル、納得できるレベルで
歌うことができない、という意味です。
たとえば、ヴァイオリニストが
「ヴァイオリン弾けない」
ピアニストが「ピアノ弾けない」
舞台俳優が「セリフ言えない」っていうのと
同じことです。
なぜいきなり歌えなくなってしまったのか、
スランプかな、
もしかしてジストニアかな、
それとも発声が良くないのかな、と
いろいろ悩み、
お医者さまに通ったり
レッスンに通ったりしても、
結局、特に大きな問題はない、と
言われてしまったのでした。
理由がわからないまま
悩みのうちに
仕事をつづけたAさん。
シャンソンは語りの部分が多く、
また、マイクも使うので
なんとかごまかすこともできたけど
どんどん、自分がすり減っていくように
思ったのでした。
やっつけ仕事で
人生を過ごすことも
おそらくできるでしょうが
そこに本当の喜びはないこと、
たとえ完璧な出来でなくても
自分の中で最高のパフォーマンスをしたい、
そのためにはなんでもする、
どうにでもするのだ、
という強い欲求は、
表現者の性なのだと思います。
そうこうしているうちに
半年近く経ったある日。
定期的に呼んでもらっていた
舞台から、「ここらでそろそろ」と
降板を言い渡されてしまいました。
耳の肥えたお客様も
いらしたでしょうし、
支配人の方も
わかっておられたのだと思います。
自分が小さくなる、すり減る、失われていく
Aさんは
自分が小さくなっていくのを
自分がすり減っていくのを
自分が失われていくのを
感じたそうです。
自分のアイデンティティが
奪い去られた、
そういう気持ちになりますよね。
冗談じゃない、
私の歌を待っている人がいる、
と言えない状況は
さらに苦しみを深くしたことでしょう。
Aさんは
闇の中に取り残された気持ちで
過ごすことになりました。
つづく。
小さなヒント
本番の後、
誰に何を言ってもらったら
ほっとしますか。

