表現者はとりわけ、
身体の変化にとても敏感です。
今日は少し首が違う。
呼吸の入り方がいつもと違う。
背中の感じが違う。
音の立ち上がりが少し重い。
そういう小さな違いを見つけながら、
その日の身体を整えて、
本番や練習に向かうのです。
そして経験を重ねるほど、
自分なりの整え方も増えていきます。
この状態なら、これをする。
ここが気になるなら、このストレッチ。
呼吸がこうなら、この動き。
本番前には、この順番。
実際に役に立ってきたからこそ、
続けている方法なのでしょう。
でも、ここで少しだけ
考えてみたいことがあります。
身体ではなく、「整え方」の方が
大切なものになってきたり、
ルーティーンのようになったりして
いないでしょうか。
身体は変わるのに、方法は変わらない?
身体は、その日によって違います。
気温も湿度も毎日変わります。
練習量や、本番の有無で
コンディションが同じわけは
ありませんよね。
精神的なものも
大きな影響がありますから
それだけでも変わります。
もちろん、年齢によっても
変わっていきます。
それでも、
「こういうときには、これをする」
というメンテナンス方法だけは、
ずっと同じということがありませんか。
もちろん、
それが悪いわけではありません。
問題は、うまくいってきた方法ほど、
ほかの可能性を考えることが
できなくなっているということです。
身体の変化にはすぐ気づくのに
その変化に対して、
選ぶ方法はいつも同じなのです。
そうなると、
身体には敏感でも、
身体へのアプローチは
知らないうちに狭くなっている、
ということが起こってしまいます。
自分が知っているものしか、できない
私たちは、
自分が知らない方法を
自分で選ぶことはできません。
長く身体と付き合っていれば、
自分なりの知識も経験も
蓄積されていきます。
それは大きな強みです。
けれど、
自分で身体を整えようとするとき、
選択肢になるのは、
基本的には
その経験の中にあるものしか
ないのです。
自分なら選ばない動きや、
思いつかない方向から
身体に触れてみることは
新しい発見と飛躍でもあり、
行き詰っているときの突破口にも
なります。
「こんなところから動くの?」
「ここを少し変えただけで、
呼吸がこんなふうに変わるの?」
という驚きが
思いもかけないところへ
運んでくれるのです。
正解を増やすのではなく、選べる状態を増やす
表現者は貪欲に学ぶことが
当たり前になっているので
常に新しいこと、良いと思われることを
探そうとなさる方が多いと思います。
でも、身体を整える方法を
たくさん覚えればいいわけでは
ありません。
「これをすれば整う」という正解を
むやみに増やしたとしても、
実際の今のあなたにどうフィットするかは
また別の問題ですよね。
大切なのは、
そのときの身体に応じて
選べることです。
身体は毎日変化するのですから、
身体への働きかけも柔軟性が
必要となります。
どんな時でも
どんな状態でも
より良いパフォーマンスのために
適切な状態を失わない
恒常性のためには
固くそれをキープするのではなく
その反対の柔らかさ、柔軟性が
必要なのです。
寝落ちコースで、
毎回同じことをしないのも、
そのためです。
季節や気候、
その時期の身体を考えながら、
参加している方の希望も聞いて
内容を組み立てています。
45分という短い時間の中で
どうすれば身体を縛っているものから
解き放たれることができるかを
味わっていただけます。
それは、
普段なら自分では選ばない動きを
してみたり、
いつもとは違うところから
身体を確かめてみることで
静かな変化が生まれるのです。
いつもの方法を
やめる、変えるのではなくて
むしろ、いつもの方法しか
選べなくならないために
選択肢を増やすのです。
寝落ちコースを、
そんな時間として使っていただけたらと
思います。
寝落ちコース、
詳しくはこちら。
10月20日までのお申し込みは
早割でお受けしています。

